世界遺産タージマハルに秘められた夫婦の愛とは。タージマハルの歴史を追う

こんにちは!初海外にインドに行った、なつみみどりです。
いろいろな人から、「なんでインドに行ったの?」と聞かれることがとても多いのですが、その理由はひとつ。世界遺産・タージマハルにどうしても行ってみたかったからです。
タージマハルと言えば、日本でも有名な世界遺産のひとつですよね。海外に興味がない人でも、写真やテレビで一度は見たことがあると思います。
しかし、タージマハルって何?と聞かれると、答えられない人が多いのではないでしょうか?
今日は世界遺産・タージマハルの歴史と、タージマハルに秘められたある夫婦の切ない愛の物語を紹介しようと思います。
タージマハルはお墓だった
そもそもタージマハルはどんな建物なのか知っていますか?実は、タージマハルはお墓なんです。
しかしインドは昔から宗教上の理由で、あまりお墓を作りません。亡くなった人は燃やして、ガンジス川に流すことが多く、お墓を作ったとしても、簡素なもので済ませてしまいます。(各宗教によって異なります)
では、日本のようにお墓を作る文化があまりないインドで、どうしてタージマハルのような立派なお墓が作られたのでしょう?
そして一体、誰のために作られたお墓なのでしょうか?
タージマハルの歴史
日本が戦国~江戸時代を迎えていた1526年〜1858年の間、インドを支配していたのはムガル帝国という帝国でした。
そのムガル帝国の第5代ムガル帝王となったのは、シャー・ジャハーン。そしてその妃、ムムターズ・マハル。ふたりは普段からとても仲が良い夫婦でした。王シャー・ジャハーンには4人の王妃がいましたが、ムムターズ・マハルだけを熱烈に愛していたのです。
『シャー・ジャハーンは、他の3人の王妃には、ムムターズ・マハルにそそいだ愛情の1/1000の愛情も感じていないだろう』
と伝えられたほどでした。
しかし、悲劇は起こります。
愛する王妃、ムムターズ・マハルは出産後に亡くなってしまうのです。
『わたしのために、わたしの名を伝え残すお墓を作ってほしい』
『わたしが死んだあと、新しい王妃を迎えないでほしい』
という、ふたつの願いを遺して。
シャー・ジャハーンは絶望の淵に立ちながらも、亡き王妃ムムターズ・マハルの願いを叶えようと、タージマハルの建設をはじめます。1631年、結婚してから19年後のことです。
その後、諸説ありますが約20年の歳月をかけて、タージマハルは完成します。
最愛の王妃を亡くした王の悲しみ
愛する王妃ムムターズ・マハルを亡くした、王シャー・ジャハーンの悲しみは、想像を絶するものでした。
しばらくの間は、公の場に出ることもなく、国事を行うこともなく。
黒かったヒゲが、悲しみのあまり数日で真っ白になってしまったり、好きだった音楽や歌をうたうこともやめたり、涙がかわく間もないほど、ずっと泣いていたそうです。
愛する人を亡くす苦しみは、いつの時代でも、たとえ王でも、変わらないものなのですね。
『わたしが死んだ後、新しい王妃を迎えないでほしい』
というムムターズ・マハルの切ない願いのとおり、シャー・ジャハーンはその後、新しい王妃を迎えることはありませんでした。
しかし、最愛の王妃を亡くした悲しみからか、シャー・ジャハーンは女遊びばかりするようになってしまいます。もしかしたら愛する王妃を亡くした悲しみを、少しでも忘れたかったのかもしれません。
シャー・ジャハーンの気持ちもわかりますが、自分が死んだあとに夫が、悲しみを忘れるために女遊びに明け暮れているなんて……。
亡くなった王妃、ムムターズ・マハルも悲しんだことでしょう。
その後、催淫剤の副作用で体を壊したシャー・ジャハーンは、見兼ねた息子により、城に閉じ込められます。
そして数年後、静かに息を引き取りました。愛する王妃、ムムターズ・マハルのもとへ、ようやく旅立つことができたのです。
1666年、王妃が死んでから、35年経ったある日の出来事でした。
タージマハルは二つできる予定だった
タージマハルはヤムナー川という川のほとりに建っています。
実は、シャー・ジャハーンは川の対岸に、自分のお墓として黒いタージマハルを作ろうとしていたのです。
もともとお墓を作る文化が薄いインドで、王妃のお墓だけでなく、自分のお墓まで用意しようとしていたーー。
シャー・ジャハーンは二つのタージマハルを作ることで、ふたりが生き、愛し合った証を、後世まで残そうとしたのではないでしょうか。
『わたしのために、わたしの名を伝え残すお墓を作ってほしい』
と最期に願った王妃にとって、愛する夫シャー・ジャハーンと共に名を伝え残すお墓ができることは、何より幸せなことのはずです。
ついにその夢は叶いませんでしたが、シャー・ジャハーンの棺は、タージマハルの中の、ムムターズ・マハルの棺の隣に収められています。
ちなみに、黒いタージマハルが建つ予定だった、対岸からみた朝焼けのタージマハルがこちら。
朝、目覚めると映る、おぼろげな白亜の影。
ここに流れるのは、生前では叶えることのできなかった、最愛の人との永遠の時。
人々がタージマハルを美しく思うのは、気付かないうちに二人の愛の尊さを感じ取っているからなのかもしれません。
世界遺産タージマハルに秘められた、夫婦の切ない愛の物語はいかがでしたか?
タージマハルや、インドに対する印象が今までとは違ってきたのではないでしょうか。
インドを訪れたときは、ぜひぜひタージマハルに行ってみて下さいね!
みどりでした。
タージマハル基本情報
営業時間:日の出から日没まで
休業日: 金曜日
入場料: 1000ルピー(外国人料金)
Dharmapuri, Forest Colony, Tajganj, Agra, Uttar Pradesh 282001, インド